焼いちまった

1/10
前へ
/26ページ
次へ

焼いちまった

   *  気づいたら俺の財布は空だ。  飯も買えない。  そしてなぜ、中華鍋とお玉を持っているんだ。  スーツ姿のおっさんが、中華鍋を抱えて平原に立つ。ツッコミどころ満載じゃないか。 「今回はあたしがサポートするし、死ぬことないから安心しな。んで、平原だから大した奴は出てこない」  おい、女。少し待ってくれるか。今、頭の中を整理するから。  まず、俺は仕事を辞めた。  皮肉にも中華料理店だ。毎日、鍋を振っていたが、ちょっとしたトラブルで今日は謝罪に行ってきた。  そのため慣れないスーツ姿だったわけだ。  しかし謝罪は上手く行かず、料理長はお前のせいだと俺を責めた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加