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皇帝・アントニウスは、目の前の手紙を読み終え溜息をついた。
「いかがなさいましたか?」
悪い知らせでもあったのかと、不安に思った皇妃≪こうひ≫マリアが聞いてきた。
「いや、いつものことだ」
“いつものこと”と言う言葉から、息子・クリストファーを思い出した。
「あまり責めないでくださいませ」
「……あぁ……責める気にもならぬ」
マリアはクリスのカナデへの想いも知っていたし、想うあまりに魔法使いに“呪い”をかけられ15歳の時の姿のままなのだ。
カナデがジャポン(ニホン)に帰国すると決まった時の落胆振りから思うと、“呪い”に関して何とも言いようがない気持ちになったのだ。
“本当に互いに想いが通じる相手”に出逢えれば、“呪い”は解けると、後でアントニウスは魔法使いから話しを訊いた。
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