第7話

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バルコニーに2人の影が落ちる。 月明かりに照らされ、奏の表情は突然のキスに困惑が表れていた。 困惑の原因は、それだけではなかった。 目の前に居る、クリスの13年前と変わらぬ姿だった。 「クリス、その……姿が……」 驚かないで欲しいとは、皇妃マリアに言われていたものの、実際、()の当たりにすると動揺は隠せない。 クリス自身もどこから話したら良いものか考えていた。 唇を一文字に結び、意を決した様に口を開いた。 「取引をしたんだ、魔法使いと」 「取引?」 ――オーセンフェリアには、昔から魔法使いが居るという“噂”は聴いていたけど―― 「君と……カナと……どうしても逢いたくて」 少年の姿のクリスが、どこか(うれ)いを()びた青年に見えた。
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