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「君はまたいつ、この国に戻るとも分からなかった……だから確実に逢える方法が欲しかった」
「……貴方を……私がそこまで追いつめてしまったの?」
奏の瞳が悲しみの色に変わる。
そっと奏の頬に手を当てる。
「オレがジャポンに、ニホンに足を運ぶことも考えたんだが……既に魔法使いと取引をして呪いをかけられて……」
奏の瞳の中に、少年の姿の自分が映り瞳を逸らしそうになった。
「君と逢うのが怖くなっていたんだ」
頬に添えられたクリスの手に、奏が手を重ねる。
「クリスの立場を考えると、私的なことで国をでるのは難しいもの……」
――呪いを解くには、どうしたら? ――
「これ以上、呪いを解く方法とかは言えないんだ」
「えっ?」
「それを君に話すと、呪いは解けなくなってしまう……そう魔法使いに……」
苦虫を潰したような表情になる。
彼女に最後まで話が出来ないもどかしさと、やっと再会できた嬉しさが混在する。
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