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晩餐会の夜に、彼と交わしたキスを想い出した奏は不思議な感覚に陥り始めていた。
少年の姿の彼に、大人のキスをされた。
奏もクリスとの“約束”を忘れてはいなかった。
ただ、母・愛実の事故のことが重く圧し掛かっていた。
――パパは、私のせいじゃないって言ってくれたけど――
未だに、母の月命日には事故の夢をみてしまうのだ。
墓は、ニホンにも建てていたが、愛実の遺体があるのはオーセンフェリア帝国の中央教会の墓地だった。
一郎だけは、1年に一度はにニホンの墓地に足を運んでいた。
愛実を亡くした後、ニホンに戻ってから再婚を勧められるも断り、男手ひとつで奏を育ててくれた。
ニホンでも教鞭をとって研究と忙しい合間に、様々な美術館などに学術研究で足を奏を連れて行ってくれた。
それが幸いし、絵画に興味を持ち女学校では数少ない芸術の学士を取得することができた。
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