第9話

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皇宮にて過ごす最後の日に、奏の部屋にクリスが訪れた。 中庭へと散歩に出た2人の後ろに、エミリアとレミジオがついて歩く。 2人の会話はあまり聴こえない。 ほとんど話していないのもある。 奏よりも頭ひとつ下のクリスが、奏を見上げる瞳は熱を帯びていた。 彼の熱っぽい視線に頬を紅く染める奏。 2人を微笑ましく思えたが、28歳である(はず)の青年は少年の姿で。 後ろから観ていて、年上の女性に熱を上げる少年といった(ふう)にも見えた。 「カナ……館に移った後も……逢いに行っていいか?」 小さく奏が頷く。 その返事を聴いたクリスは、軽く奏の頬にキスをした。
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