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クリスは頭を抱えていた。
目の前に居る、執事のレミジオから渡されたモノに目を通した途端だった。
「これは……見合い……だよな?」
「クリス様もそろそろ身を固めるべきとの、皇帝の命≪めい≫にございます」
ふぅっと息をつき、肖像画を観る。
――見目は悪くないが――
自然と胸元のペンダントに触れる。
「“あの方”を想いだされているのですか?」
無遠慮に聴いてくるレミジオを睨みつける。
忘れたことはない。
あの、“白雪姫”のような少女を……。
「いい加減に諦められては?」
「レミジオ、お前は!!」
主人に対して何とも物怖じしないのも、レミジオの良い所でもあるのだが。
こうも毎回、見合いの話しの度に蒸し返されては、苛立ちが募る。
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