第一話

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クリスは頭を抱えていた。 目の前に居る、執事のレミジオから渡されたモノに目を通した途端だった。 「これは……見合い……だよな?」 「クリス様もそろそろ身を固めるべきとの、皇帝の命≪めい≫にございます」 ふぅっと息をつき、肖像画を観る。 ――見目は悪くないが―― 自然と胸元のペンダントに触れる。 「“あの方”を想いだされているのですか?」 無遠慮に聴いてくるレミジオを睨みつける。 忘れたことはない。 あの、“白雪姫”のような少女を……。 「いい加減に諦められては?」 「レミジオ、お前は!!」 主人に対して何とも物怖じしないのも、レミジオの良い所でもあるのだが。 こうも毎回、見合いの話しの度に蒸し返されては、苛立ちが募る。
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