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 今日こそは天野さんに今まで言えなかった一言を言う。  そう決めてコンビニへと向かった。  家から歩いてすぐの、通い慣れた大手のコンビニ。  週の半分くらいは訪れていると思う。  そのコンビニで天野さんはアルバイトをしている。  天野さんとは二年間同じクラスだけど接点はあまりなく、コンビニで会っても店員と客。会話は数える程しかしたことがない。 ――だけど俺は、天野さんに決めた。 「いらっしゃいませ~」  コンビニに着くと、天野さんの声が聞こえた。  だけど、見向きもせずに何食わぬ顔で店内へと入る。  買うのはだいたい夕飯までの腹ごなし。新商品がないかチェックをして気になるものがあれば買ってみるつもりで商品を見てまわる。  ……そうしてついに、そのときが来た。    おにぎり二つとアイスを一本。今日は目ぼしい物は無かったからいつもと変わらない組み合わせをレジに置く。  レジに立つ天野さんは、同級生の俺を見て少し気まずそうにしながら慣れた手つきでバーコードを読み取っている。 「あ、あの……」  勇気を出して声を出す。  途端に、天野さんの視線を感じた。  次の言葉を待っていてくれているのがわかる。 ……だけど視界には靴が見える。 「……ん? 何?」  天野さんの声に視線だけ向けると視線が合った。 「あ、えっと……」 「……フランクフルト?」  彼女は微笑んでいた。 「え? あ、なんで?」 「学祭の時に何本も食べてたし、いつも視線が向いてたから……」 「……一本」 「はい。ありがとうございます」 「あ、何かもう1個買わない? くじ引けるよ」  顔が熱くなった。  だからなのか、天野さんがいつもは言わない話をしてくれた。 「ん……オススメは?」 「……アメリカンドッグは好き? 私はこっちの方が好きなんだけど」 「じゃあそれで」 「はーい」  くじはハズレだった。 だけどこの日、俺は幸運だったのかもしれない。 「アメリカンドッグふたつ」  知らなかった味を知り、天野さんにならホットスナックの注文が出来るようになった。  
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