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2020年の秋……
二十八歳になる足立紀子は大学院生だ。
が、女子としては珍しく機械いじりが大好きで、工学博士の称号を持っていた。
そして彼女は『マイ・ロボット』という会社の社長でもあった。
個人からのロボットの注文を企画・設計し、某企業の協力を得て製作するのが、彼女の仕事だった。
しかし悩ましかったのは、性能とコストのバランスで、つねに頭と心を痛めていた。
そんな紀子が、ある日、体調不良を感じ、国立病院を受診することにした。
愛娘の体調不良という事で、両親――和夫と華子は、異常なほど心配した。
が、紀子は笑顔で、
「大丈夫、心配ないわよ」
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