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「ああ、そういえばね。美晴さんに初めてブラウニーを貰って感動をした僕は、ブラウニーについて調べたことがあってね」
「……君は…」
何をしているの、と口に出しかけたけれど、あまりにも楽しそうな嬉しそうな表情をする彼に、その言葉は口に出ずに終わる。
「美晴さん、ブラウニーが世の中に広く知られるようになったのは、とある万博がきっかけだった、って知っているかい?」
「万博?」
「そう。諸説あるんだけどね、公の場所に初めて登場したのは、1893年に開催されたシカゴ万国博覧会だったらしいんだよ。シカゴの有名なホテルのシェフが、ホテルの創業者の奥さんに『万博に参加する女性のために、フィンガーケーキを作ってほしい』っていうリクエストに応えて考案したものがブラウニーらしいんだ」
「どうしてわざわざフィンガーケーキにしたのかしら」
最後の食器に手を伸ばした私に、「僕がやるよ」と言い彼は最後の洗い物にとりかかる。
「ええと、どうしてだったかな。確か…ああ、そうそう。お弁当箱から気軽に出して食べれるような、ケーキのひと切れよりも少し小さいデザート、っていうリクエストだった、はずだよ。なんだか、おにぎりやサンドイッチのような感じに思えてくるよね」
「…少し違うような気もするけれど」
「そうかなあ?」
「ええ。はい、タオル」
「ありがとう」
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