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すべての食器を洗い流し、手に残った泡を流した彼にタオルを差し出せば、「でもさ」と彼は手を拭きながら口を開く。
「ブラウニーって、最近のパン屋さんとかに置かれているあっさりさっぱりしていて、たくさん食べれてしまうタイプのものも、もちろん美味しいんだけど、昔からあるケーキ屋さんとか美晴さんの作ってくれる少ない量でも満足感を感じるずっしりとしっかりとしたタイプが僕は好きだな」
「私の作るものは、母から教わったレシピだから参考にならないと思うけれど…」
「そうかなぁ。でも僕はクルミやいちじく、アプリコットとかナッツがたっぷり入った美晴さんの作るブラウニーが好きだよ」
「あら。それはありがとう。母にも言っておくわ」
「いや、それは僕から伝えるよ。こんなに美味しいレシピを美晴さんに伝えてくれてありがとう!ってね」
満面の笑みで言う彼に、なんだか自分まで嬉しくなって、ふふ、と小さく笑えば、目が合った彼は、またさらに目尻をさげて笑う。
「ところでブラウニーって、どうやって作るんだい? スポンジケーキを焼く時みたいにメレンゲを作ったりするのかい?」
いつものように食後の紅茶を入れようとやかんに湯を沸かす。
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