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そんな私の行動に、彼もまた手慣れた様子ですぐに手の届くところに置いてあるいくつかの茶葉の瓶の一つを手に持ち、こてんと首を傾げながら彼は言う。
「そんなに手間暇のかかるものではないと思うけれど…。私はまずは、好きな味のチョコレートを用意するところから始めているわ」
「チョコレート?」
「そう。ブラウニーって、湯煎にかけたチョコレートを使うのだけれど、やっぱり味の決め手になるから、私は好きな味のものを使うようにしているわ」
「なるほど。あとは…バターとか、卵、かな?」
「そうね。グラニュー糖に、牛乳、薄力粉とベーキングパウダーを少しと、あとはさっき君も言ったナッツやドライフルーツが必要ね」
必要な材料をあげていけば、彼が指折り数えながら「お菓子って結構色々と材料を使うよね」と少し驚きながら言う。
「ええ。それに、今の世の中の女の子たちは、友チョコというものでたくさんの量を作る子が多いというから…大変よね」
「ああ、僕も知っているよ。まるでその日だけ転職をしているかのような状態になるんだよね」
彼の言葉に、「きっとね」とうなずきながら答える。
配る人が増えれば増えるほど、材料も増え、溶かすチョコレートも増える。
数人であればまだ気楽なものの、大人数に、となると作るほうも大変な作業だ。
けれど。
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