桜の王子様Ⅱ

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俺はダメだって言ってるのに、 桑野くんは聞いてくれなかった。 「もう、ダメだってば、ね、桑野くん」 「うるせぇ」 「あ、あ・・・っ」 確固たる意思があるのか、 桑野くんは抵抗する俺の手を避ける。 「ねえ、桑野くん!あ、もう・・・っ、あ、ああ・・・」 ダメだって言ったのに、俺が見ている前で、 桑野くんは・・・ 「ん?・・・出ろ」 「・・・え?」 「紅から電話」 桑野くんは俺に携帯電話を手渡す。 ディスプレイには紅ちゃんの名前が表示されていた。 こんな状態で電話に出させるなんて。 「も、もしもし」 『えっ・・・どなた、ですか?』 「ああ、ごめんね。桜庭だけど」 『さ、桜庭さん!?』 電話の向こうの紅ちゃんが動揺する。 それはそうだよね。 お兄ちゃんに電話をして俺が出たんだから。 でも、紅ちゃんの用件を聞くよりも先に、 俺は紅ちゃんに言いたいことがあった。 「・・・あのね、紅ちゃん」 『は、はい』 「君のお兄さん、今・・・・・・俺のカツにケチャップつけたんだけど!」 『・・・・・・は、はぁ』 桑野くんが買ってくれたお弁当の中に、カツが入っていた。 それに桑野くんは躊躇わずにケチャップをつけたんだ。 俺はソース派だから嫌だって何度も言ったのに、     
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