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「私も、お友達が私の悪口を言ってるのを聞いちゃって、……」
口にした途端、数十分前に見た嫌な光景が瞼の裏に浮かび上がる。
お昼休みはあんなに楽しく笑い合っていた子達が、私の名前を言いながらきゃあきゃあ言って笑っている。顔を顰めている。
もしかしてずっとずっと前からそうやって影で笑われていたのだろうか。
私何もしていないのに、と、思考はまた振り出しに戻る。
「そっか。……私とおんなじような顔して歩いてたから、もしかして、って思ってさ」
振り出しに戻った思考はもう心には入り切らなくて、目からどんどん零れてきている。
そんな状態の顔を見られるのが恥ずかしくて、顔を真下へ向けて誤魔化してみた。
お姉さんの視線を感じる。横の髪が前に垂れていなかったら、きっと今の顔は丸見えだっただろう。
――どんな顔をしてこっちを見ているのかな。
泣き顔を見られるのも嫌だけど、そうやってじっと見つめ続けられるのも嫌だ。
空気読むとかして、どこか別の方を向くとか、話題を変えるとかしてくれればいいのに。
嫌だなあ。何もかも嫌だ。
今ここで見られているのも嫌だし、また明日学校へ行って今日と同じ思いをするのも嫌だし
仮病を使って休んだ時にお母さんやお父さんが見せるあの気の毒そうな顔を見るのも嫌だ。
今、すぐにでも死ねたらなあ。
シャボン玉が弾けるみたいに、パチン、って死ねたらな。
そうしたらもうこうやって悩む事もないし苦しむ事もないのに。
「そんなに辛いんなら、死んじゃったらいいんじゃない?」
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