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ほづみは湿った不快感をなるべく意識しないようゆっくりとベッドから降りて、浴室へと歩いて行った。
週末の情事は、ほづみがどんなに嫌だと言っても、遼は我が物顔で勝手に押しかけてくる。
どういった方法でか、仕組みすら全くわからないが、拒む術がまるでないほづみは、なし崩しに体を開かされていた。
『現実世界じゃないから、いいでしょう? 何をやっても、夢なんですからね』
毎度毎度、嫌がって愚図るほづみを言いくるめる遼の言葉。
さすがに「ああ、そうですね」とは言えないが、一人では絶対に得られない快感を得る免罪符になっているのは否めない。
(まあ、気持ちが良いのは確かだ。だからって、実際に抱かれたいかといえば……ノーだ!)
フィクションだから、男に揺さぶられて感じていたところでどうってことはない。
気持ちが良いだけなのだから、アダルトビデオを見ているのと同じ。
ほづみがようやっとのところで出した妥協点だが、遼は不服であるらしい。
姑のように、ことあるごとに文句をつけてくる。
「ぶん殴らないだけ、まだましだって思え」
シャワーの蛇口を開き、まだ冷たい水を手ですくって顔を洗う。
顔は拭かずにそのまま浴室に入り、服を脱いだ。 汗でしっとりと濡れた寝間着を、ランドリーボックスに放り投げる。
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