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 夢と割り切ってしまえば遼との淫らな邂逅も、必ずしも悪いものではない……のかもしれない。 「……よくもまあ、飽きないな」 「キスの合間に言うには、無粋な台詞ですね。お仕置きされたいんですか? 僕は、してみたいです。ほづみさんにエッチなお仕置き」 「馬鹿言え、殴るぞ」  柔らかい、ベッドのようなものにほづみは押し倒されていた。  顔は良いものの、同性から体中を舌で舐めまくられている状況。ほづみからすれば充分、仕置きのたぐいに含まれているのだが、口に出して言えば、遼は臍を曲げて何をしでかすか分かったものではない。 (夢じゃなかったら、ぶん殴ってるんだがな!)  ジュエリーブランド《sparkle》の専属デザイナーを任されている雲越ほづみは、マーチャンダイザーとして引き抜かれてきた新見遼と現在、チームを組んでいる。  今日も、会社を出てから夕食とるために立ち寄った飲食店で、新作のアイデア出しを閉店間際まで激論していた。  仕事が押しているせいで会社に戻る遼を見送り、ようやっと捕まえたタクシーに乗って帰宅したほづみは、さっさと風呂に入ってベッドに倒れ込んだ。  直後、これだ。     
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