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タラタター タラタター
盛大に鳴るクラッシックの着信音
「あ、俺」
画面を見なくても誰からかわかるように、着信音を人ごとに変えている。むろん、妻のスマホもだ
濡れた頭を拭きながら、リビングのソファーに深く腰掛け耳を傾けると、頭の真ん中に心地よい声が流れ込む。
「ああ、四十九日は終えたけれど、遺品の整理がまだなんだ」
この人の声を近く聞くようになって、何年になるだろう
「捨ててしまえって簡単に言うけれど、それでも意外に大変なんだぜ」
この人のワガママは、なんでも受け入れたくなる
「わかったわかった、今度の週末は都合つけるよ」
この人のワガママのせいなんだから。
僕は妻のこと全て、考えていることも、考えつくことも、何だって良くわかる
ああすれば、こういう選択をするって
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