ごめんね、ママ

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四十九日が過ぎるまで慌ただしかったけれど、最近少し落ち着き始めた 今日は妻の遺品整理をするために、就職先近くで一人暮らしをする息子を呼び戻した 響くインターフォンに応じて玄関を開けると、熱気とともに蝉の声が流れ込んで来た いつの間にか盛夏だ 「暑いなぁ、おかえり………」 顔を上げると廊下に、あのときの婦人ともう1人、長身の男性が立っていた 「失礼、こんにちは。妻のご友人、でしたね」 来るなら事前に連絡するべきだ 「こんにちは。近くまで来たもので……、急にすみません」 婦人は恐縮した顔で、深々と頭を下げた そんな顔をしたって、嫌なものは嫌だ 「こちらは、私と同じく、奥様の同級生です」 長身の男性が、無愛想な表情で、頭を下げた 「どうぞ、中へ」 線香をあげたら、早々に帰ってもらおう そう思ったのに、不愛想な男の横で、婦人が長々と妻の思い出話を語り続けた 僕の知らない妻の話を聞かされるなんて、拷問以外の何物でもない
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