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「父さん、どうだった?」
「ああ、ちょっと……」
慌ててホームボタンを押すと、パスコードの入力無しにスマホが開いた
僕の指紋で?
あいつにそんな設定が出来るわけない、じゃあ……
「そういえば、お亡くなりになる前日に、奥様からメールを頂きました。今思えば、お別れのご挨拶みたいで、虫の知らせだったんでしょうか」
「そ、そうだったんですか」
妻は、死ぬ前日に、誰にどんなメールを送ったんだろう
僕は、死ぬ前日、妻とした会話を思い出せない
顔を合わせたのかどうかすら、記憶が曖昧だ
僕は、妻のスマホのメールのアイコンをそっと押さえた
『全受送信、ファイルがありません』
……なんだと?
僕は、そのまま連絡先のアイコンに指を滑らせた
『登録がありません』
まるで初期化したかのように、何も入っていない
あいつにそんなこと、できるわけがないのに……
「父さん、どうかした?」
色々なアイコンを押して見るが、情報が何も入っていない。
「いや、、、別に、、、」
メモ帳のアイコンをタップすると、何やら文章が表示された
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