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「いよいよだな…」
「あぁ…どうしよう…緊張し過ぎて吐きそう…」
「しょう!なにいってんのよっ!そんなにへたれだと、さとしにみすてられるよっ!」
うっ、辛辣なお言葉…凛、お前は強い、強いよ。メンタル強過ぎ。
隣で智が声を堪えて笑っている。肩が震えてるぞ。
繋いだ手に振動が伝わってくる。
よしっ、ここは一つバシッと決めてやるっ!
「お時間です。お扉開けます!」
メンデルスゾーンの結婚行進曲が高らかに流れた。
勢いよくドアが開かれた。
両サイドの全席の端にカサブランカが飾られ、目の前の祭壇には、笑みをたたえた牧師さんが立っていた。
祭壇の両側には、カサブランカと白いバラ、白のカラーに名も知らない小さな白い花、それにアイビーやグリーンの細長い葉が、背の高い花瓶から溢れんばかりに生けられている。
そして
視線を少し上げると、あのステンドグラスからは、あの日見たのと同じ、美しくも清らかな光が差し込んでいる。
ちらりと横を見ると、感無量といった風の智がこちらを向いて、ふわりと微笑んでいた。
少し潤んだ瞳を見ただけで、何を言いたいのか全てわかった。
俺も微笑みを返して頷き、握った手に力を込めると握り返され、同時に足を踏み出した。
後ろからリングガールの凛が神妙な顔で続いてくる。
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