1275人が本棚に入れています
本棚に追加
促されて祭壇へ上がり二人並んで立つと、館内のシャンデリアが一斉に煌めき、讃美歌が流れ始めた。聞いたことのあるメロディで、歌詞を見ながら難なく智と口ずさむ。
それが終わると、聖書の一部が朗読される。その間は静かに目を閉じ聞いていた。
「どうぞ目をお開け下さい。」
深いバリトンの牧師さんの声が響いた。
「私達は今、五十嵐翔さんと相沢智さんの結婚式を挙げようとしています。
惹かれ合う魂に性別の差はないと私は考えます。
なぜなら、諸説ありますが、人類最初の人間は両性を持っていたとも言われているからです。
訳あって同じ時に生まれ出会い愛し合い結ばれる。
これも神の御意志であると…」
そして俺の方を向いて
「五十嵐翔さん、あなたはこの方を健康な時も病める時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか?」
「はい、誓います」
「相沢智さん、あなたはこの方を健康な時も病める時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか?」
「はい、誓います」
「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか?」
「「はい、捧げます」」
「では、指輪の交換を…」
その言葉で後ろに控えていた凛が、静々とリングピローを捧げ持って、牧師さんの横に立った。
最初のコメントを投稿しよう!