番外 二章~密約~

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・ 「……やつは何者だ?」 口を割らないザイードを真っ直ぐに見据える。 「ただの商人だ──…たまに珍しい品を持ってくる。マナミに何か贈り物でもと俺が呼び寄せた」 アサドはそう口にしたザイードをふんと、鼻で笑った。 「俺に嘘や誤魔化しは利かんぞ──…やつが身に付けていた服はこの国の物じゃない」 「……っ…」 「その上かなり値のいい指輪を付けていた──…」 「──……」 「ああ、違うな…値のいい物じゃない──…あれは値が付けられんぐらいの物だ…違うか…」 アサドはザイードにじっくりと詰め寄った。 「何も不味いことがないならこれ以上の詮索はせん…だが…」 「だが、なんだ…」 「──…マナミの為を思うなら客を選べ」 「──……」 「さっき裏庭でちょっかい出してたぞマナミに」 「──……っ…またかっ!?」 「またっ?…」 険しい表情を見せたザイードの言葉につられ、アサドもつい眉間に皺を寄せてザイードと向き合う。 ザイードはテーブルにあった呼び鈴を咄嗟に鳴らした。 「マナミはどこに居るっ?」 直ぐに執務室に顔を見せた使用人にザイードは間を置かず尋ねる。 「居室の居間で御茶をお召し上がりになられているかと」 「居室に?……ジャンはっ?」 「先ほどザイード様の居室の前にいらっしゃるのをお見掛け…」 言い終わるが早いか、それよりも先にザイードとアサドは執務室を飛び出していた。
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