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「まずい。戻れ~。」
後半1点リード。相手は高校最強の破壊力を誇る東北高校。防戦一方ではいつかゴールを奪われる。
一瞬の隙を付いての攻撃。しかし、これは相手チームの捨て身の罠であった。
チームの得点王高岡さんの渾身のシュートを、時雨があっさり止めてカウンター。
世界にも通用するトップ下、倉本優との一騎討ち。
だめか…。失点を覚悟した時、「裕ちゃん…。」ベンチから恋人の声。
ベンチを見る。見えるはずがないあやめの姿が…。手を顔の前で組み、祈る恋人がはっきり見え…。
「パパ頑張れ。」あやめのお腹が微かに光った?
俺は猛然と優に突っ込んだ。
優の左足から放たれ…。る瞬間。俺は両手で、ガッチリキャッチ。と同時に試合終了のホイッスル。
「やったぁー。」
私達はベンチから飛び出した。
だってだってぇ。優勝したんだよ。小学生ぶりの全国制覇なんだよ。
でも…。私は今体調を崩していた。体が重い。吐き気もする。いつもの生理不順から来るものだと思っていた。
「やったぞ。あやめ…。って大丈夫か?」
なんとか裕ちゃんのもとにたどり着いた。けど、明らかに様子がおかしい私を見て、心配そうな裕ちゃん。
「うん、大丈夫。おめで…。」最後までいえなかった。私は裕ちゃんの胸に倒れこんだ。
「あやめ、あやめ。」裕ちゃんの声を聞きながら私は意識を失った。
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