人生最高の年に

5/16
前へ
/16ページ
次へ
「えっ、えっ?」 いきなり抱きしめられた私は混乱した。 「だって俺とあやめの子供なんだぞ。しかも、全国大会初優勝の日にわかるなんて。人生最高なことがこんなに続くのか。」ニコニコしながら私を抱きしめる。 「えっ、でも…。いいのかな?」 「何が?」「何がって。まだ高校2年なんだよ、私達は。 」 「うーん、じゃあ家族に協力してもらおう。」 いつもの前向きな裕ちゃん。貴方とならどんな困難も乗りきれそうよ。 夕方には帰れるとのことで、裕ちゃんは着替えに一旦戻った。 病室には茜ちゃんと唯ちゃんが付き添ってくれる。 「とりあえずおめでとうでよいのかな?」 「ありがとう、茜ちゃん。」 「しかし、あんたら二人がねぇ。いつの間に大人になってた?白状しろ。」 茜ちゃんの尋問の前に口を割ってしまう。中学生の唯ちゃんは顔が真っ赤だ。兄や姉の話を聞かされるのだから仕方ないか。 「一回って…。あんたらどれだけ相性いいのよ。」茜ちゃんはあきれ返っていた。 「お姉ちゃん。どうするの?」 唯ちゃんが心配そうに聞いてくる。 「私は産むよ。」「でも…。」 「確かに相当な困難が待ってると思う。裕ちゃんの将来を奪っちゃうかもしれない。けどね。お腹にいるのは裕ちゃんと私の宝物なの。誰かなんと言おうと私は絶対守るんだから。」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加