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「帰ろうか。」裕ちゃんは制服に着替えてきていた。
私も先程制服に着替えた。
「あやめ、写真を撮ろう。」
一旦スタジアムまで戻った私に裕ちゃんが提案してきた。
「優勝記念?いいよ。」
「唯、これで頼む。」裕ちゃんはお母様のカメラを持ってきた。
「スマホじゃないの?」
「家族3人での初めての写真だぞ。ちゃんとカメラで撮ろう。」
まさかそんなこと考えていたなんて…。「うん。」
といって私は裕ちゃんの右手に絡み付いた。
これがパパとママとあなたと撮った初めての写真よ。
宿舎に入る。家族に報告するまでは秘密にしようということで、私は疲労からきた発熱ということになった。
けど…。
「あやめちゃん。こっちに来なさい。」
先輩マネージャーの南ちゃんに部屋で呼ばれた。
「寒い時期なんだからお腹はちゃんと温めておきなさい。」南ちゃんから毛布をかけられる。
「安心しなさい。みんなには内緒にしておくから。」南ちゃんにはばれちゃったみたいだ。
「ありがとうございます。」
「裕ちゃんと貴女のことなんだから。私は温かく見守るよ。」
私と出会う前、小学生で大変な出来事にあって、全てを信じられなくなっていた裕ちゃんを救った先輩。
中学生の時に孤立しそうになった私と裕ちゃんを生徒会に誘ってくれた南ちゃん。まぁ、これは私達の暗黒史に繋がるんだけど…。
「ちゃんと禁煙しなきゃダメよ。」
「はい、裕ちゃんも協力してくれます。」
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