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そんなイケメンに慣れていない私はぶっきらぼうな返事しかできず、つい目を逸らしてしまう。
そんな私の顔を下から覗くのは、弟の方だった。
「ねーねー、もしかしてなんか作ってんの? キミん家の窓からね、朝からずーっと甘い匂いしてたの。俺、気になっちゃって」
ヘラッと笑いながら、平気で距離を詰めてくる弟。
私は咄嗟に後ろにのけ反ってしまった。
「つ、作って……たけど……。あっ、匂いお隣まで移ってた?!」
「ぜーんぜん大丈夫! いい匂いしてんねーって言ってたんだよね、兄ちゃん。それにキミ、エプロン似合うねー! かわいいー!」
「俺、甘い匂い嫌いなんだけど」
「あははははっ」
家じゅうの充満している甘い匂いに嫌そうな顔をしてる兄と笑顔が絶えない弟。
なに……この兄弟……
あからさまに嫌な態度をしてる兄とずっと笑顔の弟……この二人の性格、全く正反対だ。
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