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扉一枚向こうからは「もー! 兄ちゃんどうして女の子にはそんな態度取っちゃうんだよ! せっかくお隣さんかわいい子だったのに!」という弟の叫んでいる声が聞こえてきた。
「か、かわいい……? む、無視、無視。もう関わることもないわよ」
その場限りの褒め言葉だったとしても、容姿を褒められていることに慣れていない私は顔を赤くしたまま、ふんっと鼻息を荒くして家の中へと入って行く。
挨拶の手土産でもらった紙袋をリビングの床に置いてから、オーブンを見に行くとちょうどいい頃合いにシュー生地が膨らんでいた。
「やった。成功!」
長い時間をかけて出来上がったお菓子を見た瞬間、私はとっても幸せな気持ちに包まれる。
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