エピローグ

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 そんな私に涼真は手招きをした。 「なに?」  軽く駆け足で近づくと、涼真は前のめりになって私に近づく。 「危ないよ!」  受験生が怪我でもしたら大変!  いや、それより落ちるだなんてなんて縁起が悪い! と顔から血の気が引いた時だった。  頬に音を鳴らせて触れたなにかがある。  目をパチパチさせてしばらくその感触を感じていると、それはゆっくりと離れていった。 「なんだ、てっきり杏だから女の子らしくない叫び声でもあげるかと思ったのに。期待外れ」 「ふぇ……えぇぇぇぇ!」  柔らかく触れたものが涼真の唇だと気付いた時は、全てが終わった後だった。  滝のような汗を掻いた私と、楽しそうに笑う涼真。  そして聞こえてくる声は「ありがとう」という素直なお礼の言葉。  結局、その後はいつもと変わらないケンカ腰の会話が続いたけれど、それがやっぱり私達らしいと、愛しい人の笑顔を見ながら私はいつまでも幸福感に包まれていた______
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