イケメン兄弟が引っ越してきた!

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「兄ちゃん、やっぱりここだよ! 甘い匂いの正体!! スッゲーいい匂いー!」 「やめろ、恥ずかしい」  そして「兄ちゃん」と呼ばれた男の人は、言葉の勢いのまま前に出てきた弟の服の襟首を右手で掴み、動きを抑えている。 「な、な、なに……? あんたたち……」  完全にドン引き状態の私に気付いたのか、弟は後頭部を左手で掻き、「えへへっ」と笑って誤魔化している。  そして「兄ちゃん」の方が、左手に持っていた衣類の粉洗剤二箱が入った紙袋を私の前に差し出した。 「えーっと、隣に引っ越して来た相良というもんです。どうぞよろしく。あっ、これ仕事に行ってる親父から。どうぞって」  そう言いながら、洗剤二箱を私に押し付けるように渡す。  その様子はなかなか面倒な感じがして、弟とのテンションのギャップに驚愕しかなかった。
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