環状線のエロス

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「トイレ、どこでしょうか?」 「ここをまっすぐ進んで、エスカレーターを上がって右です。お荷物をお持ちでしたら、その先のエレベーターをご利用ください」 「ありがとうございます」  ノルマが軽く頭を下げ、高橋とすれ違い、進んでいく。高橋は深々と頭を下げ、ノルマの後ろ姿を見送っている。  途中、外回りの山手線が到着し、降りた客と合流し、ノルマはバッグを転がしながらホームを進んでいった。  列車が走り去ったところで、エスカレーターに到着し、ノルマはステップにキャリーバッグをグイと載せ、自分の足を乗せた。グングンと視界が上がっていき、改札階に着き、右腕に力を込めて、キャリーバッグをステップから引き上げた。
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