環状線のエロス

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「決まりですので、こちらにお名前とご住所お願いできますか?」  高橋有紀の言葉にしたがい、ノルマはボールペンを握った。 「以前もこちらで落し物をして、お世話になったことがあるんです」  受取書に氏名と住所を書きながらノルマがちらと高橋有紀に目を向けた。 「そうなんですか」  高橋有紀が驚いた声を出した。 「そのときは駅長さんにお世話になって。二年ぐらい前なんですが、今も同じ駅長さんでしょうか?」 「えーと、二年前ですと、同じ駅長ですね」 「そうですか。今日は駅長さん、いらっしゃらないんですか?」
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