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闇の下りた駅前ロータリーには、タクシーや家族を待つセダンがぽちぽちと停っている。石畳の歩道をガツガツと音を鳴らしてバッグを引き、ノルマは駅前を左に向かった。
大通り沿いの暗い坂道を五十メートルほど下ったところに黒の大型ヴァン、その後ろに黒のハイヤーが停車している。
ノルマがヴァンの横に来ると、二列目のドアがスライドして開いた。二列目、三列目のシートはフラットに倒され、黒スーツの四十前後の男と五十代の医師、三十代の看護婦の姿が見えた。
「お疲れさま。大丈夫でした?」
黒スーツの男がドアから顔を出し、ノルマに聞いた。
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