環状線のエロス

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「すべてスケジュールどおり執り行いました」 「本当にお疲れさま」  男はそう言ってヴァンから降り、ノルマからキャリーバッグを譲り受けた。バッグをヴァンの真横まで運ぶと、医師もドアから上半身を出した。 「いち、にの、さん」  男と医師がバッグを車内のシートに載せると、ノルマもヴァンに乗りこみ、ドアを閉めた。  男が上着ポケットから鍵を出し、横倒しのバッグの鍵穴に突っ込み、ひねった。医師が青のポリカーボネート製のフタをガチャンと開いた。
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