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すると、あちらも肉の入手には苦労していた事から、”冷凍ではなく冷蔵”という条件でなら、禁猟期であれば仕入れたいという返事をもらえた。
他にもウサギ肉料理を出す店を数軒紹介してもらえ、そこからたどって十数件の料理店が顧客になってくれそうだ。
フランス料理店やイタリア料理店からの需要もあった物の、期待よりは少なかった。やはり現代の日本では、ウサギ肉は食べ慣れないせいなのだろう。店側がメニューに載せても、注文が少なければそれまでという事である。需要のあった店はいずれも、在留外国人の常連が注文するからという。
食肉の輸入は検疫が面倒なのだが、先生の実家がポルトガル本国の当局へ相談した結果、支援が得られ、ポルトガル系の食肉輸出業者を間にかませる事で解決出来た。
何しろ、ポルトガルは財政的に厳しい。ウサギ肉が新たな対日輸出品になるというなら、最初は小規模であっても期待がかかるという物である。いずれ他国が競争相手になるにしても、先行の利があるし、ブランド化で付加価値を高める手もある。
ともあれ、ポルトガルからのウサギ肉輸入というベンチャービジネスが、先生が社長・僕が副社長という二人体制で立ち上がった。
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四月。新年度となり、僕は三年次に進級した。ちなみに、僕は通常の四月入学である。
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