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(間違ってはないけど、偏った言葉の覚え方だよなあ……)
いかにも御機嫌な先生の言葉に苦笑しつつ、僕は彼女にリードされるがままに歩く。
着いた先は、ちょっと高そうなすき焼き専門店である。
「今日は土用の丑ですからねー 奮発しちゃいましたですよー」
土用の丑ですき焼き。外国人にありがちな、伝統の微妙な勘違いだろうか……
いや、一応、「ウ」の付く物であれば土用の丑の食べ物らしいので、「牛」でも間違いではない。日本人でも結構知らないので、それを踏まえてなら大した物だ。
ともあれ、タダ飯としてはウナギに匹敵する豪勢さである。
暖簾をくぐると、店内は割と空いていた。ウナギを食べる日に、わざわざ別な物を外食する人は少ないという事なのだろう。
和服姿をした中年女性の従業員にボックス席へ案内され、僕達は席に着いた。先生は慣れた様子で、定番らしきコースを二人前注文する。
出てきた鍋はよく煮えて旨そうだったが、肉はどう見ても牛肉ではない。一体何の肉だろう。
「まあ、食べてみて下さいな」
先生に勧められるままに食べてみると、身が締まっていて、鶏肉とは違う。味付けはコクがあり甘目で食べやすい。
「変わってますけど、美味しいですね。これ、何の肉ですか?」
「ウサギですよー」
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