ウナギが滅びそうなら、ウサギを食べればいいじゃない

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 うちの大学は、留学生や帰国子女向けに九月入学制度がある。先生は最初、留学生として来日し、この制度によって九月に入学した。そして卒業と同時に講師として在留資格を切り替えたので、以後も九月がビザ更新の時期なのだ。 「他の大学とか、語学学校の口はないんですか?」 「いくつか当たったんですけど、駄目でした。やっぱり、日本人が習いたいポルトガル語はブラジル方言で、本国人はお呼びでないみたいで。それに、日系ブラジル人の方が在留資格が緩やかですから、雇う側も楽ですし……」 「そうですか……」  他の雇用先を探したという事は、先生はこれを機に帰国するよりも、日本に住み続けたいという事なのだろう。だが、いくら日本が好きでも彼女は外国人であり、無条件で居住できる立場ではない。日本側の許可が必要なのだ。 「で…… ですね。本当は、あなたが卒業する時に言おうと思ってたんですけど……」 「何です?」  彼女は、うつむいて口ごもってしまった。  何事かと僕が問いただすと、突然、顔をガバッと挙げて、僕を真正面から見つめ、両肩をつかんで来た。 「私と、ずっと一緒に暮らすつもりはないですか? 勿論、日本で」 「え?」 「私……前から、貴方の事…… でも、私、講師だったし……」  ……突然のプロポーズだ。  正直、先生は七歳程年上で、かつ外国人という事もあり、異性として交際していたつもりはなかった。     
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