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「ごめんなさい……ヒキましたか?」
月城が話しやすいからといって、こんなことまでぶちまけるつもりはなかったのに。失言と言っても差し支えない言葉に、焦ったような気持ちになるのは、月城の反応が怖いと感じるからなのだろう。
しかし、宇坂の心配をよそに、月城は微笑を浮かべた。
「きっと宇坂くんは優しいんだよ。相手を拒んで、泣かせたり傷つけたりするのが見てられないんでしょう? だからそんな選択をしてしまったんじゃないかな」
月城のセリフに安堵しつつも、その内容にはむず痒いものを覚える。
「それで中途半端に受け入れて、結局余計に傷つけてれば訳なくないですか? 自分でもろくでもないなとは思うんですけど」
「大丈夫。本当にろくでもない人間はそんなことすら考えないよ」
すらすらと出てくるフォローの言葉に、思わず吹き出す。
「月城さんに話したら、俺の欠点全部なくなっちゃいそうです」
「本心だよ、全部。……でも」
不意に月城が体の向きを変えて、ソファが小さく軋んだ。
「必死なのかもしれない。宇坂くんに気に入ってもらえるように」
「なんですか、それ」
月城の声が妙に熱っぽく感じて居心地が悪くなる。
「まるで口説き文句みたいですよ」
茶化してみてもその場の空気は変わらない。
「口説いてる、って言ったら驚く?」
さっきより大きくソファが揺れて、月城の指に頤を取られる。構える暇もなく、宇坂は唇を塞がれた。それはしっとりと覆うように触れて、すぐに少しだけ離れる。
吐息が触れ合う距離。衝撃に言葉が出てこなかった。これ以上はない程に近くにある月城の瞳は真剣だ。笑えない冗談だと考える余地もない。宇坂をじっと見つめる視線には、間違えようのない熱が籠もっている。
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