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第三部 天 獄 10 自責
レストルの宮に移されたナシェルは穢された体を清めるため湯殿を使うことを許されて、いま湯船に浸っていた。
名も知らぬ下級神らの精液にまみれ、思い出すだけで屈辱と羞恥に気が触れそうになる。
さらにあのあと感じた、神司が薄まっていく不気味な感覚…、あれが幻想などではない証拠に、未だ四肢は気怠く、悪寒が残っていた。
ナシェルは湯船でひとりになると己の指で恥辱を受けたその箇所を寛げ、指を差し込んで体内に放たれた白濁の残滓を掻き出した。秘蕾に埋めた指を鉤なりにしならせて湯を導き入れる。体内に少しでも残せばそれは毒と同義だ。躊躇いはない。
自慰ではなく機械的に義務的に内部を洗浄しているにも関わらず、敏感な体はすぐに反応を示し、我知らず微かな声が漏れる。
「……んっ……」
体は疲れ、気分は鬱屈していたが、下級神らに姦されたまま放置されたおかげでナシェルの躯の中心は未だ達成感を得ることなく燻っていた。後ろを清めるうちに前が反応して勃ちあがり、ナシェルは膨張した性器に手を添え己の手で己を慰めるしかなかった。
湯船の中で、陽物を自ら嬲り高めてゆきながら、後ろに入れた指をいつしか深く淫らに揺り動かしていた。
「ん……ん、」
間近に据え付けられた大きな鏡に向かい、映る姿を求める姿に重ね、
「ぁっ、ぁあ、父上……父うえ、」
と切なく小さく呼ばわりながら呆気なく射精したあとで、打ち寄せる空虚感と屈辱の波に揉まれ、湯船の縁に顔を伏して額を擦り付けた。
今このとき、王はどうしているだろう。
同族に捨てられ、あの地の底の世界に千年間、ずっと孤独に生きていたのだ。
やっと得た妻を亡くし、引き代えに残されたのは己のみ。
異常なまでに溺愛するのも無理はない。
なのに己は父を憎んでみたり、自由を求めわざと奔放に振舞ってみたり、挙句の果てには裏切りを……。
二度目の妻すら亡くし、引き代えに生まれた王女も巻き込んで――己を含む全てを、またしても王の元から引き離してしまった。
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