幸せの赤い糸

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 僕と妻の猫美が結婚したのは半年前。結婚する際に豪華な指輪を買うお金がなかった僕たちは二つの銀の指輪を買った。僕と猫美はそのとき、指輪に赤い糸を結んだ。 「何時までも一緒にいようね」  そう誓って僕たちは結婚した。  それから半年後、僕たちの指輪にはまだ赤い糸で結ばれている。仕事に行くときも僕はその指輪をして行っている。普通ならどこかで糸が伸びきるはずなんだけど、不思議なことに今まで伸びきったことはない。  でも、少し困ったこともある。それは帰るときは行った道を正確に戻って来ないと糸が絡まってしまうということだ。これが実は困りもので、一度絡まってしまうと絡まった糸を解かない限り身動きが制限されてしまう。絡まる度に行った道を逆走して糸をほどく羽目に遭うから、今では行ったら逆走するのが日常である。
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