幸せの赤い糸

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 でも、困ったことだらけではない。夕方あたりに仕事が終わる一時間前、この赤い糸は微弱に振動する。その振動は猫美が僕の帰りを待って夕飯の準備をしているのだと教えてくれる。だから、僕は飲みに誘われても断っている。だって、僕には猫美が待つ幸せな家庭があるのだから。  この赤い糸は若干の不自由さと引き換えに幸せな家庭をくれた。離れ離れになっても赤い糸を通じてお互いを感じることができる。  この赤い糸は僕と猫美にしか見ることは出来ないけど、きっとこの赤い糸は僕たちが結んだ幸せの赤い糸に違いない。僕たちはこの赤い糸のお陰でお互いが付き合う前の初恋の感覚を思う出させてくれる。だから、今日も僕は真っ直ぐ猫美が待っている家庭に帰って行く。この幸せの赤い糸の先に愛する妻が待っているのだから……
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