第3章 #2

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「おはよ」 「灯里、おはよう」 「あれ? お母さん、いたん?」 「もっと早かったら、いられへんかったけど、灯里の朝は遅いからなぁ」 「あはは」 笑ってごまかしてから、時計を見ると、もう11時だった。 朝、というより昼に近い。 一人暮らしの部屋では、休みの日でも平日と同じ時間に起きるというのに。 「疲れがたまってたんかなぁ」 そう言いながら、母は台所で汁物を温め直してくれていた。 「お父さんは仕事?」 「そうやで。最近、忙しいみたい」 「仕事、大変なん?」 「仕事も大変な時期やけど、それだけじゃなく、大学の寮が火事になったらしい」 「ええ!」 「その件でもいろいろあるらしくて、お父さん、今すごく大変そうやわ」 「そっかぁ」 「せっかく灯里が帰ってきてるのに、ごめんな」
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