第3章 #2

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「なぁ、お母さん」 「うん?」 「私、今日も暇やねんけど……何か手伝えることある?」 頬がポッと火照ったような気がした。 「へ?」 「床拭きでも、茶碗運びでも、庭掃除でも、なんでもするけど」 目は合わせられなかった。 「ほな、旅館の掃除のお手伝いしてもらおうかな」 「わかった」 母の言葉が嬉しくて、私はご飯を急いで食べだした。 「もうこの子は、行儀の悪い! 一品一品味わって食べなさい!」 「ほい」 「口に物を入れながら、話さへんの!」 「ほおーい」 「灯里!」
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