第3章ー2

2/18
前へ
/35ページ
次へ
八坂神社南楼門から南に続く通りを歩き、奥まった路地の中に、我が家の旅館はある。 旅館の玄関を開けると正面に受付があり、その右隣にはエレベーターホールが広がっている。 その奥は畳部屋の大きな宴会場。受付を挟んで左側には、お風呂がある。 客室は、一階に2部屋。二階に6部屋あるだけ。それほど大きな旅館ではない。 坪庭には、金木犀や山茶花が植えられてあり、客室から見えない奥庭に物置が二つ並んでいる。 二階の窓を開けると甘い香りが鼻をくすぐった。 私は使われていない部屋の掃除から始めた。金木犀の匂いに包まれながらの窓拭きは、とても気持ちのいいものだった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加