第3章ー2

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白いTシャツに黒のパンツ姿の人力車のお兄さんがそう言って、着物姿の女性を送り出していた。 人力車を降りた女性二人は、顔を見合わせて、 「今夜だもんね」 「楽しみ」 そう言って、宿の方に歩いてくる。 ウチのお客さんだと気づいた私は、女性二人に「いらっしゃいませ」と頭を下げる。それと同時に、館内から母と男性スタッフが出てきた。 「ようこそいらっしゃいました。お疲れでしょう」 母は女性二人に声をかけながら、一緒に旅館の中へと入っていく。 男性スタッフは、彼女たちのほんの少しの荷物を運んでいた。 片泊まりのお客さんかな? そう思いながら頭を下げていると、母と入れ替わりで、酒井さんが私の元へやってきた。
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