第3章ー2

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零れるような息を吐いた後、ふと思い出したのは、夕方、酒井さんから聞いた言葉だった。 『今年の7月の満月はいつもと違う満月だそうで』 『いつもと違うって?』 『今年の7月の満月は、月の初めと月の終わりの二度、見れるそうですよ?』 『そうなんだ……』  『ひと月に二度、満月が現れる現象を、ブルームーンというんだそうです』 『ブルームーン……月が青く見えるのかな?』 『どうなんでしょうね?』 あの話は、本当だったんだ……。 今日は数年に一度しか訪れない、ブルームーンの夜なんだ――。
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