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背は高く、切れ長の瞳に通った鼻筋、薄い唇、色素の薄い髪。
Tシャツから覗く腕は、細身だけれど華奢ではない。
見惚れるようにその姿を眺めていると、頬に熱いものが伝わった気がした。
私は手を当てて、自分の頬に触れてみる。
透明な涙の雫が、人差し指の腹に乗っていた。
私は知らぬ間に泣いていた。
今もまだ、涙が頬を伝い落ちている。
どうして、私は泣いているのだろう?
自分自身にそう問いかけるが、答えはわからない。
けれど、涙は止まらない。
そして、その涙は苦しいものではなかった。
私は、彼を見て、嬉しいと思っているのだろうか。
心臓辺りの血液が沸騰するかのように、熱く焦げる胸の内側に眠る想いは、一体何なの?
自分自身に問いかけながら、彼の姿を見ている。
涙が、背の高い彼のいる世界を、じんわりと滲ませていた。
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