第3章ー2

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『もう一度、会えたなら』  心の中で、私の中の誰かが呟く。 『もし、君に会えるなら……』 彼を見ながら、どうして、こんなことを思うのだろう。 『わたしは、もう一度……』  桜の花びらが舞い落ちるように、枝垂れ柳から零れ落ちる青い光が、私を青く染めていく。 青の世界にいる彼から目が離せない。 溢れ出る涙を拭きながら、私は思っていた。 もし、そちらに歩いて行けば、彼のいる深い蒼の世界へ行けるのだろうか? 彼の声を聞くことができるのだろうか? 青い光の道筋に沿って歩いて行けば、私は――…… あの人に、会えるの? 行こう。 私は、青い光の粒にまとわれながら、青く蒼い世界の中に、足を踏み入れた。
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