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第4章 #2
「いったー」
「派手にこけたな。大丈夫か?」
「うーん。ちょっと痛いけど、平気」
「平気か、よかった。立てる?」
「うん」
頷き立ち上がろうとした時、両膝に激痛が走り、わたしは再びその場に座り込んでしまった。
「痛っ」
「うわ。灯里あかんわ、それ」
短く声を上げた私に話しかけているのは、飯島拓斗。わたしの幼なじみだ。
拓斗とわたしは同い年で。家が近く、幼稚園から高校までずっと同じ学校へ通っていた。
拓斗とわたしは、いつも一緒だった。
拓斗はこの関係を“腐れ縁だ”という。
それについてはわたしも同感だけれど、わたしは拓斗のことを、お兄ちゃんのようにも弟のようにも感じている。
一人っ子だから、兄弟に憧れがあったのかもしれない。
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