第4章 #2

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時々、兄弟がいたらこんな感じなのかな……と拓斗を見ながら思っていた。 それほど、拓斗はわたしにとって家族のように近い存在だった。 「膝、めっちゃ血、出てる」 見慣れた茶色の髪が目の前に来た。しゃがみ込んだ拓斗がわたしの膝小僧を覗き込んでいる。拓斗の言うとおり、両膝から血が出ていた。その赤色は染みのように広がっていく。 「大丈夫、ですか?」 その時、わたしたちの真上から聞き覚えのない声がした。 声のした方に目をやると、そこに知らない男の人の顔があった。 「えっと」 誰だっけ。と思いながら、わたしは、記憶を整理する。 突然、感じた痛みによって、一瞬の記憶が飛んでしまっていたからだ。
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