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その人は、すらりと背が高く、整った顔立ちをしていた。
色素の薄い髪が、月夜に照らされている。
服装は、Tシャツとジーンズ姿黒い柔らかそうなTシャツが、彼のスタイルの良さを引き立てている。
下から見ているからか、とにかく足が長い。
その人は、とても美しい人だった。
「大丈夫……です」
なぜか、声が震えた。
人見知りなどしない性格なのに、どうしてだろう?
自分にそう問いかけて、ふと思った。
わたし、緊張している?
「えっと、あなたは?」
彼は頬を少しこわばらせ、理解できない、とでも言いたげに眉根を寄せて言った。
「君は俺に当たらないように、わざとこけたんだろう?」
「わざと?」
思わず、聞き返してしまう。
「違うのか?」
「えっと……」
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